山梨県にある山荘が焼け、男5人女5人の焼死体が見つかった。カギは部屋の中からかかっており現場は密室。マスコミが連日事件を報道すると日本中で推理合戦が始まった。事件が起きたのは1962年9月。キャンプ場内にある平屋の山荘で、当時はオフシーズンで客はほぼいなかった。遺体のほとんどはあお向けで逃げた形跡がなかった。現場は大通りから1キロ離れた林だった。新聞各紙も真相に迫った。山荘から少し離れた繁華街で飲食店を営む女将が10人について知っていると話した。亡くなったのは山荘のオーナーと建築会社の専務、スナックのママとスナックの従業員7人で、深夜1時頃に女将の店で食事や酒を楽しんだあと山荘に向かった。新聞社の取材によると、オーナーは家族に山荘ではなく違う場所に行くとウソをついていた。またスナックのママは受刑中の殺人犯の恋人だった、従業員の中には数日前から口論を繰り返した者もいたなど複雑な人間模様が明らかになってきた。最も燃えていたのは台所だったが、台所のガスコンロを使った形跡はなかった。遺体を解剖した結果気管は焼けておらず火災発生の前日の午前中には亡くなっていたため、死因は火災ではないとわかった。新聞各社はミステリー作家の推理を掲載した。