中国・上海から中継。上海支局・菅野陽平氏が解説。菅野氏は「米中関税戦争の影響を受けて上海、香港ともに4月7日に大きく下落。上海総合指数は約7カ月ぶりの安値。その後は徐々に戻り、関税で急落前の水準を超えている」などと述べた。岡三証券・久保和貴さんは株価が戻った背景について「国産AIのDeepSeekに代表されるハイテク技術への期待が高いこと、中国景気が以外と底堅いこと、政府系ファンドによる株の買い支えが続いていることがある」などと述べた。6月予想レンジは上海が3300~3450、香港が23000~24000。久保和貴さんは「米国との貿易摩擦が一旦収まったことから地合が改善し、上値を追うとみている90日延期だが米中両国がいたずらに事態のエスカレートを望んでいないとわかったというだけでもプラス」などと述べた。米中両国が合意したことで14日から追加関税が115%引き下げられた。4月統計で影響は出ている。中国の輸出ではアメリカ向けは大幅なマイナス。一方、ASEAN向けは大幅プラス。タイは28%、ベトナムは23%のプラス。久保和貴さんは「ASEAN向けが増えた背景はこうした国を経由して迂回輸出が行われていることに加えて、アメリカ向けの商品を他国に安く出していることもある」などと述べた。中国の対外直接投資では過去10年で積極化。中国企業が現地企業を買収したり、工場を建設するなどして生産拠点を海外に移していた。こうした動きは出海(チューハイ)と言われる。中国の先月のCPIは0.1%のマイナス。3カ月連続のマイナスとなっている。久保和貴さんは「CPIの低下は原油価格の下落による燃料費の低下も大きいが、輸出向けの商品を国内向けに安くさばく動きも影響している」などと述べた。中国のECサイトにできた特設コーナー。ピンドゥオドゥオは国内企業を助けますとある。さらにアリババが展開する淘宝では質のいい国産品を最大半額で売ると書いてある。久保和貴さんは「国内EC企業は輸出業者への支援を行い京東は4兆円以上を投じて輸出品を買取り国内向けに転用。ピンドゥオドゥオも約2兆円を関税戦争への対応に投じている。消費者の間でもこうした動きは歓迎されていて一部調査では7割の消費者が好意的に解釈している」などと述べた。PPI4月は2.7%のマイナス。下落幅が拡大。原料や素材価格が大きく下落。久保和貴さんは「中国と日本も貿易をしている。いい面はキッチン用品、おもちゃ生活雑貨が値下がりして家計にプラス。そうしたものを作っている日本企業にとってはデフレ圧力となることが考えられる。もともと米中両国はめちゃくちゃな関税を課していたがようやく現実的な水準に戻ってきた。関税休止は90日間なのでその後は何も保証がない。先行きには注意が必要。今後は消費と不動産がカギ」などと述べた。小売売上高は伸びが鈍化。久保和貴さんは「貿易摩擦を受けて大型の買い物に対するセンチメントが悪化したか、関税を見越し3月に駆け込んで買った反動とみている。家電は伸びが拡大している。政府の買い替え支援の効果は残っている」などと述べた。不動産価格の下落が多くの問題の原因になっていたが悪化が止まってきた。米中水面下の攻防に注目。きょうで菅野さんの上海からの放送は最後。菅野さんは上海に5年10カ月駐在。
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