企業で働く男性の昨年度の育児休業の取得率はおよそ30%。男性もより育休を取りやすくしようと、企業の間で新たな取り組みが広がっている。大手ビールメーカーで働く男性は、妻と共働きで2歳と0歳の2人の娘を育てている。男性は次女がことし6月に生まれてすぐ、2か月間の育児休業を取得した。男性は飲食店を担当する営業マンで、営業先はおよそ20社に上る。当初、休みの取得は2週間〜1か月程度にしようと考えていた。取り引き先や同僚への影響を考えると、長期間不在にすることに不安もあった。そうした不安を和らげたのが、会社が新たに導入した制度だった。制度は育児などで1か月以上休む人の業務を引き継ぐ社員が対象。育休を取る社員の業務を引き継ぐと、引き継いだ分に応じてポイントが付与される仕組み。男性は今回、同じ部署の5人に業務を引き継いだ。経験を踏まえて、5人が5%〜35%の割合で分担する。引き継いだ割合に応じてポイントが付与され、そのポイントは、この冬のボーナスの支給額に上乗せされる。最も多い人で4万円前後が加算される見込み。この制度は、介護や病気で休む人が出た場合も対象としている。子育て支援制度に詳しい専門家、東京大学大学院経済学研究科・山口慎太郎教授は「すごく好ましい動きだと考えている。手当といった形で給料が増える加点対象になるということであれば、カバーに入る人も納得感を持ってやりやすい。チームとして常に安定した成果を出せることになる」と述べた。このように育休を取る人の業務を引き継ぐ社員を支援する制度は、保険会社や電機メーカーなどでも導入が進んでいるという。