鬼怒川沿いにある三妻地区では10年前に堤防が決壊し高齢者や障害のある人が逃げ遅れた。これを教訓に市では5年前から要支援者約2000人を対象に個別避難計画の作成を呼びかけている。しかし、去年までに応じた人は300人あまり。そこで市が始めたのが三妻地区の自主防災組織との連携。メンバーは日頃の近所付き合いを通じ地域の家庭事情にも精通している。自主防災組織のメンバーは市からの情報を元に要支援者を訪問。石塚晴彦さんは視力が弱く、同じく要支援者の92歳の母と暮らしている。個別避難計画については分かりづらさを感じ作成していなかった。自主防災組織の有田さんは近所に住む顔なじみで、有田さんが計画の作成について声をかけたところ石塚さんが同意したという。避難の際の支援者は近所に住む親類に頼むことを話し合って決めたという。自主防災組織はこの1年間で約60件の計画を作成。近所だから生まれる信頼関係が作成の実現につながっているという。要支援者の情報は随時、市と共有している。市は今後も地域住民同士の信頼関係を頼りに計画の作成を広げていきたいとしている。