ことし7月にパキスタンの山で滑落し、救助活動が打ち切られた登山家の平出和也さんと中島健郎さん。去年、標高7700メートル余りの別の山に登ったことが評価され、登山界最高の栄誉の1つピオレドール賞に選ばれ、授賞式が行われた。イタリアで開かれた授賞式。平出さんは4度目、中島さんは3度目の受賞となるが、2人の姿はない。カメラマンでもあった2人は数多くの登山の様子を映像に残し発信もしてきた。フランス語で金のピッケルを意味するピオレドールは毎年、世界各地の山で優れた登山を実現した人に贈られ、登山界のアカデミー賞とも呼ばれる。2人が撮影した映像。去年7月、パキスタンの山、ティリチミールに挑戦。これまで誰も登ったことのない北壁から頂上を目指した。北壁は周囲を険しい山に囲まれていて、ふもとから見ることができない。写真などもなく、2人は十分な情報がない中で新しいルートを切り開いた。今回の受賞では未知を探求する姿勢や8000メートル近い標高で冒険的な登山を実現したことなどが高く評価された。長年、2人を取材してきた山岳ライターの柏澄子さんのコメント。登山を愛した2人。ことし7月、2人は世界で2番目に高い山、K2に新しいルートから登頂を目指す途中で遭難した。ピオレドール賞のホームページには追悼文が掲載され、「過酷な登山と撮影を両立させ、多くの人に厳しくもめったに見ることができない世界を共有した。彼らが登山を通じて人々を幸せにしてきたことを忘れてはいけない」と2人をたたえた。