2016年の熊本地震では県内で6500か所以上で液状化が発生。中でも被害が集中したのが近見地区だった。熊本では行政と住民が協力して復興に取り組んでいる。地震発生当時、近見地区の自治会長だった荒巻さんは地震から2ヶ月後に液状化対策の住民協議会を設立、市にいち早い復旧を要望した。熊本市では約1年をかけて液状化の被害地域を調査。再発防止対策として取り入れたのが、全長約7kmにわたって地下の壁を囲い、水を集める特殊な排水管を張り巡らせてポンプで地下水を排出する地下水位低下工法。総事業費は125億円。熊本市は国の宅地液状化帽子事業を活用して補助を受けることに。事業を受けるには住民の3分の2以上の同意が必要だったが、ポンプの電気代年間600万円を市と住民のどちらが負担するかが大きな議論になった。2018年に熊本市は全額公費負担を発表、長期間の工事への懸念などに対し繰り返し住民説明会を開いた。同意を得た地区から工事を開始し2020年に全地区で8割の同意を取りまとめることができた。最終的に費用の97%以上が国から補助され市の負担も大幅に軽減されたという。