今年に入り9月までで26,000品目以上値上げされ、10月からも4,600品目以上値上げされる。さらには銀行手数料の値上げなども待ち構える中、街の皆さんから苦言の嵐。そんな中今週、岸田総理が閣議で経済対策を取りまとめるよう指示。持続的な賃上げや人口減少対策など5つの柱を明らかにしたことで、新聞各紙は一面で取り上げ、SNS上では一時トレンド入りするなど今週の超関心事になった。経済対策で岸田総理がまず力を入れたのが、「106万円の壁」を乗り越えるための支援策。いわゆる年収の壁は、年収106万円以上になると配偶者の扶養から外れ社会保険料など支払いが必要になり、実質手取りが減ってしまう。この制度が生まれたのは1986年。ようやく今回106万円を超え新たに生じた社会保険料を手当で穴埋めするなどした事業者に対し、労働者1人当たり最大50万円の支援を実施するなどの対策を打ち出した。だが現場の声は、くれることによって今度不安なのは何に取られるかという話。ごまかされるんじゃないかっていう不安感を持っているのが現状だという。なおシンクタンクのデータによると、年収の壁があることで就業時間の調整をしていると答えた人は、全体の6割以上に上っている。そんな中、岸田総理の政策について慶應大学大学院の岸教授は評価できないという。物価高から国民を守るという方向性は正しいのに具体策が伴っていないと苦言。年収の壁対策はそもそもの欠点を、年収の壁というのは年金保険料を払わなくていい人が対象なので、保険料を払っている人と比べて不公平。その不公平を是正するのが一番必要などと指摘。また、対策の中で減税という言葉を多く使っているが、その多くが個人ではなく企業向けだったことにも強く疑問を投げかけた。