広島に原爆が投下されて明日で79年となる。もし、多くの人が行き交う渋谷の街に原爆が投下されたら。そんな想定をスマートフォンで疑似体験できるコンテンツが今月1日に公開された。AR(拡張現実)の技術を使い、特定の位置からカメラをかざすことで、実際の街並みにリアルなキノコ雲が浮かび上がる仕組みとなっている。このコンテンツを考案したのが大学4年生のKNOW NUKES TOKYO代表・中村涼香さん。原爆は、広島で約14万人、長崎で約7万4000人の命を奪った。中村さんは長崎市出身で祖母が被爆を経験。コンテンツを考案した理由について「自分たちが日常の中ですごく目にしている景色をバックに核兵器を象徴するようなきのこ雲が映るとすごく異様な景色になので何かしら考える機会になるかなと思って」と語った。夏休みなどを利用して渋谷を訪れる若者に格の怖さを知ってもらおうという狙い。街の人は「めっちゃ怖いです」「信じられないですね」等と話した。今回プロのデザイナーや大学教授など様々な人に協力を仰ぎながらコンテンツ制作に当たった。東京大学大学院の渡邉英徳教授は今回デジタル技術の監修を行った。渡邉教授も戦争の記憶を伝えていく研究をしている。渡邉教授は「人々の関心を呼び起こして議論が生まれているという意味では成功しているのでは。最初の制作から中村さんたち(若者)が主体的にやれたところが喜びではある」と語った。これまでも核廃絶に向けて様々な形で訴えてきた中村さん。学生団体の代表として活動を続けているが9月に大学を卒業する。今後の展望について「大学卒業後も続けたいということで活動を継続している。広島や長崎に限らず色んなところで核の問題について考えられるような場所きっかけをたくさん作りたい」と語った。