国連で国際的な軍縮や核の廃絶に向けた旗振り役として尽力している中満泉事務次長。先週まで開かれていた世界の核軍縮を目指す国際会議にも出席。国際社会で高まる緊張感を改めて認識したという。中満事務次長は「議論そのものは非常に難しい状況。雰囲気もよかったわけではない。分断の構図が深まっている。本当に核兵器が使われてしまうようなリスクがかつてないほど、冷戦のピークの時と同じようなところまで高まっている。非常に危機感を持っている」と述べた。中満泉事務次長はきょう、広島の平和記念式典に国連代表として出席。式典には、岸田総理大臣も出席し、”「核兵器のない世界」への努力を積み重ねることは日本の使命だ”と述べた。一方、式典後の会見では、米国の核戦力などで日本を守る「拡大抑止」の意義を強調。中満事務次長は「核軍縮・核の廃絶は一夜にしてなせることではない。そこに至るまでの間、バランスを崩さないような形、安全保障上の大きな問題点が出てこないような形で再び核軍縮の方向にかじを切り、早い時期に格の廃絶がなされるような努力をしていかなければいけない。「核なき世界」の実現は可能。実現させるために努力を続けなければいけない」と述べた。広島と長崎に原爆が投下されてから79年。中満事務次長は日本が果たすべき役割について「いまあるような分断と不信に基づいて核抑止にだけ頼るような安全保障ではなく、対話によって緊張を緩和していくため、日本が指導的な役割を果たしていくことを期待している。8月6日、そして長崎の8月9日は、核廃絶を早期に実現していくための誓い・覚悟を新たにする日だと毎年思っている」と話した。広島の原爆慰霊碑に刻まれた「過ちは繰り返しませぬから」という言葉。この誓いを守り抜くためには国際情勢が混迷を極める中にあっても諦めずに対話や必要性を各国に訴えていくことが重要と思われる。