日本時間きょう未明に始まった体操男子個人総合決勝。ゆか・あん馬・つり輪・跳馬・平行棒・鉄棒の全6種目の合計得点によって順位が決まる。団体での金メダルに続き2冠を目指し挑んだ岡選手。最初の種目は「ゆか」。技の着地をしっかり止める堂々とした演技で14点台の高得点をマーク。好スタートに笑みがこぼれる。そして2種目目の「あん馬」ではエース・橋本選手にミスが。落下は1点の減点。大きな痛手となるが次の演技者・岡選手に「慎之助ビビんな!」と声をかけた。その声を受け完璧な演技を見せた岡選手。難易度の高い大技をしっかりと決めた。2種目を終えた時点で岡選手が暫定首位に。初めてのオリンピックでみせる強心臓ぶり。さらに続く3種目目「つり輪」では最後にF難度の着地を一歩も乱れずおさえる。そして後半戦は因縁の「跳馬」から。実は岡選手は一昨年の全日本選手権の跳馬の着地で右膝の前十字靭帯を断裂。全治1年の大怪我をした。よぎる着地への恐怖。膝をしっかり落としなんとかこらえた着地。笑顔のガッツポーズが出る。5種目目は得意とする「平行棒」。持ち味のきれいな姿勢で正確な演技を披露。15点台の高得点をマークし再びトップに躍り出た岡選手だが、そのすぐ後ろに迫ってきていたのが中国勢。東京オリンピック銀メダリストの肖若騰選手、そして予選1位だった中国のエース・張博恒選手は5種目を終え2位と3位につけた。岡選手との差はわずか0.366と誰が金メダルを手にしてもおかしくない展開に。運命の最終種目は「鉄棒」。まずは暫定2位の肖選手から。そして岡選手の演技。金メダルをかけひとつのミスも許されない緊張の瞬間。完璧な演技を見せ全6種目をノーミスで終えた。勝負の行方は最終演技者の中国の選手・張選手に。終盤、倒立でわずかにバランスを崩した。結果は岡選手が金メダル。2位の張選手との差はわずか0.233。新たな王者が誕生した。その瞬間を側で見ていたのは連覇を逃し6位に終わった橋本選手。橋本選手は「新しい歴史を見れて僕は幸せです。どんどん日本の体操が強くなる新しい未来も見えて、彼が怪我をしてここまで乗り越えて。彼の努力と諦めなかった強さに本当に僕も感動した。」などと涙を浮かべ新チャンピオンとなった岡選手をたたえた。岡選手は「金メダルを目指して練習してきたので、そお成果が金メダルにつながってうれしい。橋本選手にはずっと『自信を持って胸張って演技しろよ』って最初の種目からずっと声をかけてくれていたので、それがすごく自分にも自信になったし力にもなりました。大きな怪我をして本当に多くの方がサポートしてくれていたので、こういう結果で終われて少しでも恩返しできたかなと思っています。」などと語った。