4月、吉野では約8kmにわたる尾根と谷を桜が染め上げる。一面に広がる桜の数は日本一を誇る。この桜と切っても切り離せないとされるのが役行者。自然のなかで山伏が厳しい修行の末、悟りを得る「修験道」の開祖で、天候を予測したり、豊作を祈願していた。五鬼助家は役行者の言いつけで修行をする山伏の世話役を務めた。役行者は吉野にある金峯山寺を創立したとされ、蔵王堂は国宝に指定されている。深奥部には高さ7mの秘仏、蔵王権現が鎮座する。役行者は吉野のヤマザクラを使い、蔵王権現を彫刻したという。ご利益にあやかろうと、人々は願いを込めた桜を吉野山に植樹していった。古今和歌集には吉野の桜の歌が収録され、雪と見紛うばかりに美しく、神々しいという意味だという。
