戦国武将の織田信長が、室町幕府の武将・細川藤孝に送った書状が見つかった。今回、熊本大学などの研究グループが東京都内の収蔵庫で発見した新たな書状は、室町幕府が滅亡するおよそ1年前の1572年8月、当時、幕府の中枢を担っていた細川藤孝にあてて信長が送ったものだという。この中で信長は「あなたからは初春にも太刀と馬をお贈りいただきました。例年どおりお付き合いくださり、この上なくめでたいことです」とあり、藤孝とは関係を深めていたことがわかる。さらに、「あなたの働きこそが重要なのです」とも書かれ、信長が幕府を滅亡させるに至る要因として、重要な役割を果たしたことがうかがえる貴重な発見だという。熊本大学永青文庫研究センター・稲葉継陽センター長は「信長の本来的、歴史的性格が逆にひっくり返されるようなところがあるが、実証的に詰めていく研究方向が、この発見で深まるきっかけになってほしい」と述べた。