新潟の山間にある山古志地区。四季折々の美しい日本の原風景が今に残り、錦鯉発祥の地としても知られている。しかし、2004年の中越地震以降、人口が3分の1に減少。山古志は存続の岐路に立たされている。この日は震災から19年となる追悼式典の日。準備を進めるメンバーの中に少し変わったバッジを付けている若者たちがいた。実は彼らは地元住民ではない。デジタル村民と呼ばれる山古志の応援団。きっかけとなったのは山古志地区が2年前から販売するNFTアート。特産の錦鯉があしらわれた鮮やかなデザインが人気となり、これまで1600人が購入したという。さらにアートは山古志独自のデジタル住民票にもなっている。購入者はデジタル村民としてイベントの企画・運営に参加可能。こうした活動を進めるのは住民団体の代表・竹内春華さん。「このNFT自体に山古志の仲間という概念を勝手に作って山古志を応援する共感する方々をより地域を開いて集めることができないかなと思って」と説明。プロジェクト開始から2年、デジタル村民と協力した様々な企画が実現している。かまくら作り体験ツアーにジャズライブ。さらに名物である牛の角突きのファンクラブを結成して魅力をネットで配信。追悼式典もデジタル村民の提案で去年から新たな形に進化している。NFTアートの売上で作られた仮想空間。現地に来られない人もオンラインで共に追悼できる仕組み。目標はデジタル村民1万人。NFTアートで繋がる新たな山古志が始まっている。