2024年2月4日放送 10:05 - 10:50 NHK総合

明日をまもるナビ
(110)能登半島地震から1か月 いのちを守るために

出演者
塚原愛 東貴博 佐藤江梨子 
(明日をまもるナビ)
能登半島地震から1か月 災害関連死とは

災害関連死は過去の災害でも相次いでおり、東日本大震災ではこれまでに3500人以上が亡くなり、熊本地震では地震が直接の原因で亡くなった人の4倍以上に上る。関西大学の奥村教授は過去の関連死の死因と死につながる間接的要因を結びつけてフローチャートにし、劣悪なトイレ環境や避難所での雑魚寝など避難生活の環境の悪さが関連死につながった可能性が見えてきた。奥村教授は災害が起こったときの取り巻く環境を変えていかないと大きな犠牲が出る可能性があることを多くの人に認識してもらい対策をしていかなければならないと話した。関連死を防ぐために医師などが避難所でのトイレ・キッチン・ベッドの対策を指摘している。

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避難生活を送るうえで気をつけたいキーワードとしてトイレ(衛生)・キッチン(食事)・ベッド(睡眠)に加え、Warm(暖かさ)をあげた。誰でも日常にあるものだが、災害時にはどれかが欠けるなど劣悪な環境になってしまう。災害が起きた時のスフィア基準があり、避難所で1人あたりの広さ3.5平方メートルの居住空間が最低水準と決まっている。また、トイレも20人に1つ以上で男女比が1:3となっている。基準があるが、実際被災地では十分に揃ってはいない。さらに、道路も寸断されて届けられず時間がかかっている状況だ。具体的にはエコノミークラス症候群などの症状が危惧されており、過去の災害でも病に掛かる人が出ている。

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避難生活で気をつけたい エコノミークラス症候群

2004年に起きた新潟県中越地震では精神的ストレスや疲労が重なるなか災害関連死が多く発生したという。中でも注目されたのが「エコノミークラス症候群」でこれにより亡くなった人は全員が車中泊で生活をしている人だった。狭い空間に長時間座り続けると足の静脈に出来た血栓が血流になり肺の動脈を結び呼吸困難や突然死を引き起こすという。中越地震で患者の診察に当たった榛沢和彦さんは「車中泊をしていると3割に血栓が見つかる」と話している。避難生活ではトイレに行く回数を減らす為に水分摂取を控えてしまい血液の濃度が上昇した事も原因の1つとなっている。東日本大震災や熊本地震でも避難所不足やプライバシーの確保などの理由で車中泊を選ぶ人がいる。榛沢さんはやむを得ない場合は安全対策を取るよう水を車に持ち込み定期的に運動するなど提案。弾性ストッキングは通常のストッキングよりも締め付けがキツく足に血が固まるのを防ぐためエコノミークラス症候群にも効果がある。ストレッチや運動は血液の循環を促す血栓を予防するがエコノミークラス症候群は車中泊のみにならず避難所でも注意が必要だという。

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エコノミークラス症候群について榛沢和彦が説明。トイレを我慢すると水を飲まないため水分不足になり動かない事によって血液の流れが悪くなり血栓が出来る。日本の場合は中高年の女性に多く理由は子供と親の世話をしている内に脱水になるからだった。エコノミークラス症候群を発症する人は出てきてるか質問。今回は男性の方で肺塞栓が見つかり避難所でインフルエンザに罹患し1週間隔離と脱水もあった。感染症にかかってしまうと危険と医療の人などは伝えているが昼間に車にいる方は少ないため伝えるのは難しいという。エコノミークラス症候群を予防する為には「こまめに水分補給」「定期的に運動・ストレッチ」「弾性ストッキング着用」の3つだった。1日で摂取した方が良い水分量とか目安はあるか質問。最低でもペットボトル500ccで食事を取っていれば食事の中にも水分が入っているため2本で良いという。冷たい飲み物を渡しても飲まない人もいる為、温かい飲み物も準備する必要がある。エコノミークラス症候群は4時間以上のフライトで起きるため4時間置きに運動し、ヒラメ筋という筋肉が動くと血栓が出来にくくなるという。

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エコノミークラス症候群を引き起こす血栓を予防する為のストレッチを紹介。まずは足の指でグーを作り足の指を開き足を上下につま先立ちをし、つま先を引き上げ膝を両手で抱え足の力を抜いて足首を回す。最期にふくらはぎを軽く揉むがポイントは下から上に血を上に流すような気持ちで揉むという。運動をして体がポカポカしてきたが良い方向なのかの質問に対し、榛沢さんは「末しょう循環が良くなったので温かいのでは無いか」などとコメント。全身を動かせない状況でも体に取っては血栓は出来ずらいのかと質問すると「一番血栓が最初に出来る場所がヒラメ筋の中」と話している。他に効果的な動きがあるか聞くと「立ち上がって壁に手を付けてつま先立ちをすると効果がある。ヒラメ筋は元々歩くための筋肉で歩くのが一番だが歩けない場合は狭い場所だったら立てれば大丈夫」などと話している。

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避難生活で気をつけたい 誤えん性肺炎・感染症

ストレス・体力低下などにより免疫力が下がる避難生活で気をつけたいのが、誤嚥性肺炎と感染症。災害時は、断水などの影響で歯磨きで口の中を清潔に保つことが疎かになりがちになる。すると口の中で増えた細菌が唾液や食べ物と共に肺に流れ込んで肺炎を起こす誤嚥性肺炎のリスクが高まる。歯科医師によると、断水時の歯磨き方法はごく少量の水をコップに用意して歯ブラシの先を濡らす。そして口の中に歯ブラシをかけて、汚れが取れたらティッシュペーパーでその汚れを取るを何度か繰り返し、残りの水を2回に分けてしっかり口を濯ぐ。水や歯ブラシがない時は、歯みがきシートが売られているのでそれを用意し、シートを指に巻き付けて歯と歯茎の間を沢山こする。入手できない場合は、液体ハミガキをティッシュペーパーやガーゼに染み込ませても良いという。唾液には、消化を助けたり殺菌効果もある。唾液腺マッサージをすると唾液がでるのでやってもらいたいという。奥歯の噛み締め部分・フェイスラインの下・顎の下を、それぞれ30秒ほどマッサージすれば唾液が出やすくなるという。東日本大震災の時、福島のある避難所では大規模なノロウイルス感染が起こった。感染者の排泄物や吐き出したものに多く含まれ、感染力が高く消毒後も適切に処理しなければ乾燥して粉塵となって空気中を漂う。そこでこの時は、避難所を区画ごとで布で仕切り、人から人への感染リスクを減らし、居住スペースを嵩上げした。こうした対策の結果、感染者は0になった。新型コロナやインフルエンザ対策としても、間仕切りなどを使用し避難者同士の間隔を2メートル以上保った状態で生活するのが理想とされている。運営者は、可能な限り体調の悪い人は別の場所に誘導できることが求められる。

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口腔ケアについて、特に高齢者は口の唾液で誤嚥することがあるので、唾液の中の細菌を減らすためには口腔ケアが非常に有効だという。喉には繊毛があるが、同じ場所にずっと動かないでいると繊毛が固まって細菌が繁殖してしまうため、動くことが大事だという。感染症対策について、床から距離をとらないとどうしても飛沫感染が最後には床に落ちてくるのでそれを吸い込まないように、床に顔を近付けると危ないということを知ってもらいたいという。一番すべき対策は、避難所でベッドを使うことだという。床から30センチ上がるとホコリの量は半分になるという。コロナの時の対策は有効なので、みんなでやってほしいなどと述べた。食事に関して、どうしても野菜不足になりがちなので、便秘や胃腸炎になりやすくなるため、野菜ジュースなどで食物繊維をとってほしいという。

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