日本生命NY投資現地法人の今さんはアメリカの社債スプレッドに注目しているそうで、「社債スプレッドは社債の利回りが国債をどの程度上回っているかを表しており、企業の信用リスクを反映した指標。信用リスクが低く社債に対する需要が高いと社債の利回りは低下し、スプレッドも低くなる傾向にある。いま社債スプレッドは2000年以降で最も低い水準となっており、アメリカの社債市場に投資マネーが流入していることを示唆している。今年を振り返るともっとも高い水準となったのは8月初旬に雇用統計の結果が市場予想を下回り景気後退懸念が高まった時期だった。その後一転してアメリカ経済の堅調さを示す指標が続いたことや、9月のFOMCで利下げが開始されたことなどを受け、社債スプレッドは低下基調にあった。しかし今回歴史的な低水準を更新する要因となったのは大統領選。トランプ次期政権による景気刺激的な政策や規制緩和への期待感など企業のファンダメンタルズ改善が織り込まれており、信用リスクへの懸念は和らいでいる様子。社債スプレッドはあくまで社債と国債の利回りの差。ここ2年ほどはベースとなる国債の利回りが上昇しているため、社債利回りも上昇している。利下げ開始後もトランプ氏が勝利して以降は金利が上昇し、社債利回りが5%を回復しており買い需要を後押ししている。ここで注意しておいた方が良いのは、悪材料を転機としてスプレッドが急拡大する可能性。例えば低格付け社債のスプレッドが急拡大すると、その後の金融市場がリスク回避の動きを示す傾向があり”炭鉱のカナリア”に例えられている。株式相場も史上最高値圏で推移しており、PERもかなり割高の水準となっている。先行きを占う上でも社債市場をはじめとした幅広い資産クラスの動きを見ることでリスクに備えることが重要」と話した。