夫婦同姓が義務づけられているのは法務省が把握するかぎり日本だけ。世界の国々で一般的なのは選択的夫婦別姓。家族の一体感を重視し、夫婦同姓を支持する世論もあるが、経団連はいわゆる女性活躍のためにも選択的夫婦別姓の導入を求めている。ドイツやスイス、オーストリアなどもかつては夫婦同姓を義務づけていたが、次々とこれを改め選択的夫婦別姓を導入してきた。この潮流を作ったのが、1979年にできた女性差別撤廃条約。「世界の女性の憲法」とも呼ばれ、日本も85年になって批准した。この条約を履行しているかどうかを、国連の女性差別撤廃委員会が審査する。夫婦同姓を義務づける日本の法律については「実際には女性に夫の姓を強制している」として、20年以上前から過去3度にわたって是正するよう勧告。しかし日本はこれに従ってこなかった。青山学院大学・谷口洋幸教授は「日本政府は女性差別撤廃条約をあまりに軽視している。国際社会からは夫婦同姓の制度に日本人の人権意識の低さが表れているとみられる」と指摘。
女性差別撤廃委員会からの勧告は、同姓の強制の問題だけではない。日本でもこれまでに勧告を受けて法律を改正してきた前例もある。前回2016年には結婚年齢を定めた家族法が男性18歳、女性16歳と男女間で差があることが差別的だとして是正するよう勧告を受け、男女共に18歳とする法改正が行われた。また、夫婦が離婚した際に女性のみに100日間の再婚禁止期間が定められていたことについても同様に勧告を受けて廃止している。
女性差別撤廃委員会からの勧告は、同姓の強制の問題だけではない。日本でもこれまでに勧告を受けて法律を改正してきた前例もある。前回2016年には結婚年齢を定めた家族法が男性18歳、女性16歳と男女間で差があることが差別的だとして是正するよう勧告を受け、男女共に18歳とする法改正が行われた。また、夫婦が離婚した際に女性のみに100日間の再婚禁止期間が定められていたことについても同様に勧告を受けて廃止している。