藤代さんはきょうの日経平均予想レンジを37,800円~38,300円とし、「流石に日経平均3万8,000円まで回復したところで膠着感が強まってきている。後半に入っている決算発表は、関税に対する恐怖心が和らぐ中で業績見通しを発表できなかった企業が大きく売り込まれるという展開がいまのところストップしているので、本日は方向感に乏しい展開になるのではないかと思う」と話した。注目ポイントには「日銀の利上げが株価の追い風に?」と挙げ、「端的に言うと金融引き締めは景気の減速を通じて賃金・物価上昇率を抑える政策なので、株価にマイナスというふうに考えるのが自然。安全資産である国債の利回り上昇がリスク性資産である株式の相対的な魅力を低下させるというのも株価の下落圧力になる。今回の利上げ局面ではこれまでと違い、景気・株価に対して必ずしもマイナスにならない可能性があると考えている。利上げにより為替が急激に円高になると企業業績の下振れが警戒される。ただ、ゆっくり円高が進むなら、マクロ的には輸入物価の低下を通じた個人消費の回復が期待できる。足元の原油安にも関わらず、2020年から6割も上昇した状況にあり、家計・企業を圧迫しているのは間違いない。それが低下すれば内需を下支えする公算は大きいと考えている。グローバル企業の円建て収益は打撃を受けるが、個人消費が回復に向かえば内需株を中心に底堅い展開が期待される。家計が受け取る金利収支の好転に注目する。日本の家計が保有する現預金は1,100兆円、それに対し負債は400兆円でほとんど変化がないので、純金融資産は年々積み上がった状態にある。前回の利上げ局面である2007年と比べると、250兆円増加した状態にある。この状況で利上げを行うと、家計が受け取る金利が増加する。預金金利が消費に回れた場合によっては景気が加速する可能性すら考えられる。同様に企業も実質無借金の割合が4割を超えて増加しているため、利上げによって金利負担が増加し企業収益が傷むという教科書的な反応にならない可能性もあると考える。少なくとも2007年の利上げに比べ、金融引き締めの効果は弱いのではないかと判断しており、今年予想される日銀の利上げは株価の下落要因としてはあまり重要ではなく、むしろ追い風になる可能性もあると考えている」と話した。