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「旭堂南陵さん」 のテレビ露出情報

撮影を始めた去年11月、牧場にレッドチェイサー9歳がやってきた。戦績は通算81戦11勝である。2週間前に足を炒めて急遽引退を余儀なくされた。馬が来るとまず、体調をチェックするようにしているがレッドチェイサーは乗られるのを嫌がる。角居さんは引退馬は体も心も傷ついているとする。痛めた足をかばうため歩き方のバランスが崩れていた。バランスを整えることで内蔵の調子も良くなる。ご褒美は敷地に生えている天然の草で競走馬時代に与えられていた高カロリーなものとは別物である。馬たちに寄り添うのは調教師時代の経験にある。育てた馬の影で調教に耐えられず骨折したり実力が足りずに引退し殺処分される馬たちも見てきた。調教師を初めて7年が経ったころ馬の可能性を見出した。ホースセラピーは心や体が傷ついた人が馬と接することで元気を取り戻す。
角居さんは間もなく引退馬の行き先探しやリハビリなどを行う取り組みを開始し2021年に調教師を引退し牧場を開いた。6頭の馬が動き出す朝6時半にはスタッフは餌やりに大忙しである。日が暮れるまで馬たちは放牧地で暮らす。去年8月に開いた新しい形の牧場は週末のたびに賑わっている。兵庫県から来た西野さんは小学生のときから競馬ファンでお気に入りは血統の良いカウディーリョである。父は日本ダービーを制したキングカメハメハで母は角居さんが育てたディアデラノビアである。カウディーリョは両親のようには活躍できないまま去年8月に引退した。西野さんの職業は講談師で関西を代表する名講談師に憧れ同じ世界に入った。2世だという意識に囚われて悩んできたという。カウディーリョは去年8月牧場に来た時は他の馬とは過ごそうとしなかったが最年長の牝馬セリと過ごすようになった。セリは脳梗塞で倒れ、左目が見えづらくなったがカウディーリョがセリの左側に寄り添うようになった。
祖父母の住む能登の自然が好きだった角居さんは牧場を開いて自然とはなにかを考えるようになっていた。レッドチェイサーが牧場に来て11日目に足の怪我が治り他の馬と合流する日となった。角居さんは金沢競馬から装蹄師を呼んでいた。1歳のときから付けていた蹄鉄を外してもらうためである。1歳から7年、他の馬と集団で暮らしたことはない。いきなり1頭の馬に蹴られ群れから追い出された。角居さんはじっと見守る。するとレッドチェイサーは自分から寄っていった。セリがしばらくして鼻を擦り寄せた。
元日に地震が襲った。取材チームが牧場を訪ねることができたのが発生から1ヶ月を過ぎたころである。幸い、スタッフと馬は無事であった。施設の一部は倒壊し牧場は至る所が破損した。1日0.4tの飲水を確保するため毎日離れた場所にある井戸へ向かう。スタッフのほとんどは自宅に帰らず、車や事務所で寝泊まりしている。夜中に地震が起きた時にいち早く馬の安全を確保するためである。角居さんはこんなときだからこそたくさんの人に見てほしいという。この日、角居さんはポニーのテンを連れ出した。取り付けたのは瓦礫を運ぶためのリアカーである。能登半島の最北端珠洲市にある牧場では6頭の馬と人が大自然と向き合いながら暮らしている。

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