元死刑囚・袴田巖さん。44年もの間独房で死刑の執行に怯えてきた袴田さんの精神は深く蝕まれていた。1966年6月30日静岡県旧清水市でみそ会社の専務一家4人が刃物で殺害され家に火がつけられた。警察は従業員で元ボクサーの巖さんをボクサー崩れと呼んで犯人視。決定的な証拠がないまま逮捕に踏み切った。巖さんは裁判が始まると無実を主張。しかし事件から1年2か月後、血がついた巖さんのものとされる衣類が5点、現場から突然見つかった。裁判所はこの衣類を決定的証拠と判断。1980年12月には最高裁で死刑が確定した。その後も無実を訴え続け、2014年3月27日、静岡地裁は5点の衣類を捏造された疑いがあるとして再審を認めた。そして2024年9月23日、無罪判決が下った。