多くの政党が公約に掲げていている最低賃金1500円。現在の最低賃金が1055円なので400円以上もアップ。最低賃金は最低限支払わなければいけない法律で義務付けられた時給のこと。都道府県ごとに定められていて今年度、最も高いのが東京で1163円、神奈川1162円、大阪1114円と続く。一方、最も低いのが秋田の951円だった。最低賃金が1000円を下回る島根県の丸山知事は「最低賃金1500円というのは島根県内の企業がやすやすとできるわけがない。中小企業が潰れかねない」と発言している。地方の中小企業には大きな負担で、従業員20人を抱える茨城・筑西市のせんべい店。今も工夫して賃上げをしているそうだが社長からは不安の声が聞かれた。原材料費やエネルギー代の高騰、賃上げまでのしかかると頭を悩ませていた。1500円という設定には経済団体のトップの間でも意見が割れており、日本商工会議所の小林会頭は「賃金を支払えなくなる中小企業が増えて地方が瓦解する危機に陥る」と苦言を呈している。また、経団連の十倉会長も「到底、達成不可能な目標は混乱を招くだけ」と慎重な立場。一方で、経済同友会の新浪代表幹事は「そもそも払えない企業はだめだ。中小企業が高い賃上げ目標を掲げて高い賃金を払える企業が生き残っていくことが私たちの生活レベルの向上につながる」と早期の引き上げを望む考え。日本経済に詳しい木内登英は「1500円というのはかなり高い水準で現実味が薄い。会社側が無理して最低賃金を上げた場合リストラの可能性もあって労働者側もうれしいのは最初だけとなる」と指摘している。