日産とホンダの統合検討の背景の一つにはそれぞれ単体での生き残りに危機感を感じていたことがある。世界の自動車グループの販売台数でホンダは7位、日産は8位で、統合すると世界3位に浮上し巨大グループになる見通しだった。もう一つの背景は日産の業績悪化。アメリカでの販売不振などもあり、今年度前半までの決算は営業利益が9割超の減益。再建のために国内外で9000人規模の人員削減を行うとしていた。こうした中、きょう統合撤回を発表。経済部・城間将太が撤退の背景について解説。一つは当初の合意からの方針転換。両社は対等な立場で新たに設立する持ち株会社の傘下に入る形を検討していたが、ホンダの株価が下落し経営陣や株主が反発。日産のリストラ案などの進捗の遅れなどからホンダ側が不信感を募らせ日産を子会社化する案を提示したが日産側は反対。これが決定打となり破談となった。急速に経営悪化している日産はすぐに次の手を打つ必要がある。日産をめぐっては台湾「ホンハイ精密工業」が提携を模索中。外資系との提携には技術流出に不安の声もある。政府関係者も資本提携には抵抗感を示していて、技術力の共有などで競争力向上が重要としている。日産はホンダとの提携を撤回し、どう業績を改善するつもりか内田社長がこのあとの会見で説得力ある説明をできるのかが注目される。