NHKの予算と事業計画は、年度ごとに国会の承認を受けることになっている。新年度2025年度の予算では、事業収入で前の年度より13億円多い6034億円を見込んでいて、このうち受信料収入は契約件数の減少などで前の年度より10億円少ない5800億円としている。事業支出は業務全般の支出の見直しなどで、前の年度より156億円少ない6434億円としている。収入から支出を差し引いた事業収支差金は400億円の不足となり、おととし実施した受信料の1割値下げを継続するための還元目的積立金で補填する。事業計画では、10月から新たな必須業務としてインターネットを通じたテレビ、ラジオの番組の同時配信、見逃し聴き逃し配信、それにニュース記事の文字情報をはじめとする番組関連情報の配信を行い、“放送でもネットでも正確で信頼できる社会の基本的な情報を発信する”などとしている。一方、予算と事業計画に対する村上総務大臣の意見では、放送番組の質を維持しつつ、引き続き事業経費の一層の合理化、効率化とともに受信料の適正かつ公平な負担の徹底に向けた取り組みを着実に進めるよう求めている。また、SNSの普及などに伴い、放送に対する国民視聴者の認識に変化が見られる現状も踏まえ、正確で信頼できる社会の基本的な情報を提供することや、番組関連情報の配信にあたって、公正な競争の確保に支障を生じさせないことを求めている。さらに、ラジオ国際放送などの中国語ニュースでの問題を受けて、公共放送としての社会的責任を深く認識し、再発防止策の徹底と業務の必要な見直しを求めている。