女子マラソン・前田穂南選手。社会人になって9年。去年春、陸上部の報告会で前田選手はマラソンランナーとしての目標を「MGCに向けて連覇目指してパリ五輪につながる走りができたらいいな」と語った。5年前から取材が始まった。仕事をしながら練習に励む生活。高校時代、駅伝はずっと補欠で無名選手だった。しかし東京五輪代表を決めるMGCで優勝した。オリンピックで輝くことが夢だった。2020年8月で準備を重ねるも、延期が現実となる。努力の代償で抱えたケガの不安を残したまま東京五輪へ。33位という結果となった。現実は厳しく東京五輪後はアクシデントが続き引退を考えることもあったが、走ることが趣味で走ることが生きがいなのにケガのせいで満足に走ることができなず。本人曰く病みモードとなった。足の痛みを繰り返すなかでも選んだ道は自分を貫くことだった。闇の中についに光が指す。東京五輪以来のフルマラソンで自己ベストを更新しMGC出場権をつかんだ。やってきたのは足の治療。今は痛みはない。問題は2ヶ月後のMGC、パリ五輪代表選考会まで大丈夫かどうか。レース当日は雨、前田選手が恐れていた天候だった。