首都圏局都庁担当の川村允俊記者と政治部の立石顕記者に聞く。小池さんが幅広く支持を集めたようだが、小池さんの勝因についてどう見ているか。2期8年にわたる小池さんの都政運営について一定の評価がなされたことが勝因になったと見られる。NHKが行った出口調査で小池都政への評価について尋ねた。「大いに評価する」と「ある程度評価する」が合わせて67%で、「あまり評価しない」と「全く評価しない」を合わせた33%を大幅に上回っている。選挙期間中、小池さんは18歳以下への月5000円給付といった子育て支援策などを実績として訴えてきたが、こうした施策について一定の評価がなされて幅広い層から支持を集めたことが勝因と見られる。
小池さんが圧勝して2位に入ったのが政党の支援を受けなかった石丸さんということになった。与野党はこの結果、どう受け止めているのだろうか。小池さんを支援した自民党では「小池さんの実績が評価されたにすぎず、この結果をもって党の信頼が回復したと見るのは早計だ」という受け止めがほとんど。むしろ併せて行われた都議会議員選挙の補欠選挙が2勝6敗となったことを深刻に受け止めており、幹部の一人は政治とカネの問題による逆風は依然として厳しいと話している。一方の立憲民主党では、蓮舫さんが2位にも及ばなかったということに衝撃が広がっている。そして石丸さんが支持を広げたことについては与野党の双方から「既存の政党への批判票が集まったのではないか」という見方が出ている。
小池さんは都知事3期目となるが、今後の課題はなのだろうか。1つが少子化だと思う。東京都の去年の出生率は0.99となっていて、全国で最も低く、都道府県で唯一1を下回っている。3期目の公約の中で第2子以降の保育料無償化を第1子にも拡大することや無痛分べんの費用を助成することを掲げた。これらの施策が子育て世帯にどれほど響くのか、そして出生率の低下に歯止めをかけることができるのか、注視していく必要があると思う。
今回は過去最多の56人が立候補して選挙ポスターなどの問題もあったが、選挙戦を振り返っていかがだろうか。選挙期間前、ある候補が取材に対して「当選する気はなく、自分の名前を売るために出るので目立たないと意味がない」と話していたのが印象的だった。注目されることで動画の再生回数を増やして広告収入を得たり、その後のビジネスにつなげたりといったいわゆるアテンションエコノミーが広がる中、選挙がビジネスに利用される側面があるのではあれば、今後、どういうふうに対応するのか議論する必要があると思う。
国政への影響、どのように見ているか。影響は小さくないと思う。自民党は信頼回復が引き続きの課題となるので9月までに行われる総裁選挙に向けて「衆議院選挙で勝てる総裁を選ぶべきだ」という声が強まる可能性もある。また、立憲民主党は政権交代に向けて都知事選で弾みをつけたいという思惑が外れた格好になったので、衆議院選挙での野党共闘の在り方について、難しい判断を迫られることになる。
小池さんが圧勝して2位に入ったのが政党の支援を受けなかった石丸さんということになった。与野党はこの結果、どう受け止めているのだろうか。小池さんを支援した自民党では「小池さんの実績が評価されたにすぎず、この結果をもって党の信頼が回復したと見るのは早計だ」という受け止めがほとんど。むしろ併せて行われた都議会議員選挙の補欠選挙が2勝6敗となったことを深刻に受け止めており、幹部の一人は政治とカネの問題による逆風は依然として厳しいと話している。一方の立憲民主党では、蓮舫さんが2位にも及ばなかったということに衝撃が広がっている。そして石丸さんが支持を広げたことについては与野党の双方から「既存の政党への批判票が集まったのではないか」という見方が出ている。
小池さんは都知事3期目となるが、今後の課題はなのだろうか。1つが少子化だと思う。東京都の去年の出生率は0.99となっていて、全国で最も低く、都道府県で唯一1を下回っている。3期目の公約の中で第2子以降の保育料無償化を第1子にも拡大することや無痛分べんの費用を助成することを掲げた。これらの施策が子育て世帯にどれほど響くのか、そして出生率の低下に歯止めをかけることができるのか、注視していく必要があると思う。
今回は過去最多の56人が立候補して選挙ポスターなどの問題もあったが、選挙戦を振り返っていかがだろうか。選挙期間前、ある候補が取材に対して「当選する気はなく、自分の名前を売るために出るので目立たないと意味がない」と話していたのが印象的だった。注目されることで動画の再生回数を増やして広告収入を得たり、その後のビジネスにつなげたりといったいわゆるアテンションエコノミーが広がる中、選挙がビジネスに利用される側面があるのではあれば、今後、どういうふうに対応するのか議論する必要があると思う。
国政への影響、どのように見ているか。影響は小さくないと思う。自民党は信頼回復が引き続きの課題となるので9月までに行われる総裁選挙に向けて「衆議院選挙で勝てる総裁を選ぶべきだ」という声が強まる可能性もある。また、立憲民主党は政権交代に向けて都知事選で弾みをつけたいという思惑が外れた格好になったので、衆議院選挙での野党共闘の在り方について、難しい判断を迫られることになる。