東京都庁の壁面いっぱいに映し出されているプロジェクションマッピング。今年2月から毎日上映されていて観光客の注目を集めている。この事業には、これまでに16億5000万円の予算が投入された。都が推計したプロジェクションマッピングによる経済効果は「18億円」とこれまでの予算額16億5000万円を上回っている額になっている。この18億という大きな数字もですしプロジェクションマッピングによる経済効果というのがちょっとぴんとこない。そこで都に情報公開請求をして調べたところ、都は経済効果を測るための専用のツールにさまざまな数値を入れて推計し7億円が訪れた人の消費による効果、10億5000万円が関係する産業などへの効果としている。7億円のうち、来場者数は都庁展望室の来場者数天候や季節のバランスを考慮して推計され年間79万人余りを見込んでいる。そして新宿を訪れた観光客のデータなどを基にどの程度、お金を使ったか推計している。都は会場に滞在する時間を54分として来場者1人当たりの消費額を季節ごとに498円から1187円と推計し年間で7億円の経済効果があるとしている。ツールを使って根拠を示しているという。ただ気になるのは、やはりこれが実際にどのくらい現実的なものなのだろうかというところ。今回プロジェクションマッピングを見に来た人30人に話を聞いてみた。日本人と外国人それぞれ15人ずつに話を聞いた結果、都の推計の金額の最大は1187円だったのに対し30人に聞いた平均は1143円となった。一方、訪れた目的も聞いてみた。最も多かったのはプロジェクションマッピング以外の目的だった。プロジェクションマッピングを目的に訪れたのは7人で都庁の展望台が11人などと他の目的で訪れる人が多い結果となった。これについて都に取材をすると「プロジェクションマッピングを始めてから観覧後に展望台に向かう人もいるなど新たな相乗効果も生まれている。来訪者や滞在時間の増加にもつながっていて魅力の向上に寄与している」とコメントしている。一方、行政で経済波及効果の分析に携わってきた阪南大学・長谷川明彦教授にも話を聞いた。まず、経済効果というのはあくまでも計算上の話であってまた事業だけではなくて東京都全体でどうなるかといったところもやっぱり見ていかないといけないという。いずれにしてもこの事業、多額の予算を使っているだけにですねやって終わりではなく都には今後もその効果というのを検証して事業の必要性というのを説明していく必要がある。