地経学研究所は国際情勢が経営に与える影響について民間企業にアドバイスを行っている。主催する勉強会には今、全国からメーカーや総合商社などの幹部が次々と集まっている。今年ワシントンに事務所構えたサントリーの担当者は、トランプ政権に詳しいコンサルティング会社を訪ねた。入手した情報は東京オフィスに共有され、迅速な経営判断につなげている。インテリジェンス部門の責任者・江口さんは、3月初旬にサプライチェーン部門を統括する役員から麦芽ルートを変更したいと相談された。元々スエズ運河ルートで輸送していたが、紅海周辺ではフーシ派による船舶の攻撃が頻発するようになったため喜望峰ルートに変更しコストが膨らんでいた。停戦合意に伴いフーシ派の攻撃も収まっていたことから、江口さんは独自の人脈でフーシ派の動向について情報を得ようとした。イギリスの対外情報機関の元幹部はリスクはあるもののイスラエルの船舶以外への攻撃は減るという意見を示したが、第一次トランプ政権で大統領補佐官を務めたマクマスター氏はトランプ政権が近くフーシ派の拠点を攻撃する可能性を示唆した。江口さんは今後かなり中東は荒れる状況になると新浪社長に伝えた。