2009年、霊感商法で印鑑販売会社が摘発された。”新世事件”と呼ばれる。捜査員は販売員を尾行すると、旧統一教会の本部に出入りする姿を確認した。問題は教団の関与を示す証拠があるかで、捜査関係者は「販売員たちが熱意に基づき、勝手にやっていましたで終わりかねない」と指摘。1993年、公安警察に宗教団体の担当チームが編成された。旧統一教会、オウム真理教の追及が目的で、前者に偏重が置かれたが、2年後に地下鉄サリン事件が発生。公安はオウム真理教の捜査にシフトすることとなった過去があった。2009年、教団は新世との関わりを否定していたが、教団の元職員は「内部では大騒ぎになっていました」と振り返る。捜査員たちは印鑑の購入者を聴取すると、購入代金を返されたという人が続出。一方、内部文書を紐解くと、社員全員が旧統一教会の信者だった。印鑑販売を端緒に信者の獲得を図っていた。教団からの指示が新世にあったとすれば、摘発が可能だと思われた。だが、捜索の結果、PCのデータが完全に消去され、復元は不可能だったという。一連の捜査で教団や幹部が罪に問われることはなかったが、過度な献金、不安を煽る勧誘などを禁止するコンプライアンス宣言を出した。後日、宣言後も不法行為にあたる献金の勧誘が継続されていたことが判明する。2009年当時、教団の献金収入は525億円だったが、22年には560億円にのぼった。
