去年12月、和歌山・橋本市に市内唯一の公衆浴場がオープンした。活用したのは、明治時代に建てられたといわれている古民家。梁や欄間は当時のまま活用されている。オーナーを務めるのは東大阪出身の湯原直子さん。大阪で自動車部品の製造会社を営んでいたが、会社の移転に伴い36年前橋本市に引っ越してきた。湯原さんは地域に新たな交流の場を作りたいと銭湯の開業を決意。その理由は地域の輪に入れずにいた人の存在に気付いたからだという。高野口町は高野山への参詣口としてかつては商店も多くにぎわっていた。しかし、時代とともに活気は薄れ目立つのは空き家の姿。湯原さんがこの町に銭湯を作る上で決めていたことは、新築するのではなく空き家を活用することだった。高野口町を元気にするにはこの町並みを生かして空き家にもう一度息を吹き込むことが大事だと考えた。耐震補強を施した古民家の部分は受け付けや脱衣所を作り奥に浴槽や露天風呂を作った。番頭を務めるのは高瀬勇人さん。スタッフの募集をSNSで見つけ金沢から移住してきた。オープンを前にした12月24日。湯原さんたちは一足早く地域の人を招待。地域に欠かせない憩いの場として大きくしていきたいと湯原さんは話す。