南海トラフ地震臨時情報が出される中、各地で備えが進められている。こうした中、地区の防災訓練や防災計画の作成などを担う中心的な役割を期待されるのが防災士。葛飾区には全国的にも珍しい小学生の防災士がいる。小学6年生の柴田宗里さんは区内で唯一の小学生防災士。この日、地区の放水訓練に参加し、消火栓の使用方法などを確認した。柴田さんはことし5月、2度目の挑戦で防災士の資格を取得した。12歳以下で取得したのは全国で165人で全体の僅か0.05%。防災士の資格は地震や水害などが発生する仕組みや避難所の運営方法など防災に関する幅広い知識を身につけなければならない。テキストの内容は小学生には難しいところもあったが周囲のサポートもあって無事、合格した。柴田さんが住む葛飾区東新小岩地区は荒川と中川がすぐそばを流れている。想定される最大規模の雨が降って荒川が氾濫した場合、3メートルから5メートル浸水するところが多くある。また古い木造の住宅も密集していて首都直下地震などが起きた際には大規模な火災が起きることも懸念されている。柴田さんが防災に関心を持つようになったのは父親の晃宏さんの存在がある。晃宏さんは地区の防災組織で活動していて一緒に訓練に参加するなどしてきた。防災士の資格を取得してからは地区の避難所運営の図上訓練に出席するなど以前よりも積極的に防災活動に取り組むようになった。さらに柴田さんは、より実践的な訓練にも参加し始めた。この地区では水害に備えてエンジン付きのゴムボートを所有している。この日はボートの膨らませ方や操縦方法などを確認した。水害で孤立した人たちを救助したり物資を運んだりできるようになるのがねらいだ。地区の防災を担う一員に、小学生防災士の成長に期待が集まっている。ちなみに、防災士の試験を受験するには年齢制限はない。来年度からは中学生になる柴田さん、中学校では地域防災ボランティア部に入部し地域の防災活動に一層力を入れたいと話していた。