千葉県東金市の病院の倉庫には、陸軍病院の極秘資料が残されている。精神疾患の兵士約8000人のカルテ。多くの兵士が戦地での加害行為から罪の意識に苛まれていた。陸軍病院では治療に向けた研究が行われていたが、記録が表に出ることはなかった。自分の父親がPTSDを発症していたのではないかと声をあげる人たちが増えている。藤岡美千代さんもその1人。藤岡さんの父は20歳で海軍に入り、千島列島・松輪島の航空基地に配属された。藤岡さんが生まれたときは終戦から12年が経過していたが、父のPTSDのような症状は年々悪化していき、家族に暴力をふるい続けた。藤岡さんにもトラウマが連鎖した。父はその後自殺した。藤岡さんらは国に実態調査を求めている。元日本兵の心の傷の問題を明らかにすることが二度と戦争を起こさないことにつながると考えている。