去年6月、埼玉県東部の越谷市や草加市などを襲った大雨。24時間雨量は観測史上最多となる260.5ミリを観測した。排水が追いつかず住宅地に水があふれる内水氾濫が起き住宅が水につかる被害は4000棟にも上った。この内水氾濫、近年、各地で相次いでいる。去年6月の内水氾濫で被害を受けた草加市松江地区の加藤茂町会長に当時の話を聞いた。加藤の町会ではけが人はいなかったが住宅66棟が水につかった。加藤が暮らす埼玉県東部は海抜2メートルから3メートルほどの低地が広がりこれまで何度も水害に見舞われてきた。地区のそばには流れる綾瀬川は去年6月の大雨ではその水位が大幅に上昇し氾濫危険水位を超え、側溝などの水が川に流れ込めなくなって街なかにあふれ出た。綾瀬川は氾濫しなかったものの被害は内水氾濫で起きた。加藤が作成した当時のメモを見せてくれた。排水を依頼しようと市役所に電話したが、電話が殺到しつながらなかった。市の職員が向かったときにはすでに浸水が広がり、たどりつくことができなかった。加藤は深夜、浸水が始まる中で近所の人に上の階へ逃げるよう呼びかけるのがやっとだった。草加市はその後当時の対応を検証し、大きな川の氾濫は警戒していたものの内水氾濫の状況把握が遅れ避難の呼びかけが間に合わなかったとして職員の参集などを早めることにした。内水氾濫の兆候をいち早く把握する取り組みとして千葉県柏市ではマンホールの中にセンサーを設置し運用を始めた。排水に使われる下水道の水位をほぼリアルタイムで検知できる。このセンサーは過去に内水氾濫が起きた地区を中心に27のマンホールに設置している。下水道の水位に応じて緑色の平常からオレンジ色の注意、そして紫色の危険と変わる。柏市はこのデータをウェブサイトで公開している。また内水氾濫の状況をいち早く把握し今後、避難の呼びかけにも役立てたいとしている。周りが浸水している中で屋外を移動するとこれは命の危険にもつながりかねない。この内水氾濫の状況をいち早く把握するということは命を守るうえでもとても重要。雨が多くなるこの時期、お住まいの地域で内水氾濫のリスクはどうなっているか。ハザードマップなどで改めて確認しどのタイミングでどこに避難するかなど行動についても話し合っておくのが大切だ