大河ドラマ「麒麟がくる」で染谷将太演じる織田信長が蘭奢待を入手するシーンが描かれている。当時、信長は畿内の制圧を進めていたが、従わない武士も多かった。そんな時に朝廷の許可のもと、蘭奢待を切り取り、天皇へ献上した。将軍がいないなか、織田信長が朝廷を支えていくことを示したといえる。大の香木好きだった徳川家康も蘭奢待も入手し、欣喜雀躍したと文献に記されている。幕府を開いた同年に正倉院の大規模な修復事業を命じ、5代将軍の綱吉は蘭奢待をおさめるためだけの唐櫃を寄進した。滋賀県の古刹、三井寺には蘭奢待の断片が残されていて、明治政府の官僚として文化財の保護に取り組んでいた町田久成がおさめたという。町田は明治天皇に命じられ、蘭奢待を切り取った人物でもあり、天皇が自ら裂き、焚いたとされる。