日本選手の活躍で大変盛り上がっているパリオリンピックだが、選手からはSNSで気になる投稿が相次いでいる。競歩の柳井綾音は「批判は選手を傷つける。このようなことが少しでも減ってほしいと願っている」。また、柔道銅メダルの永山竜樹は「お互い必死に戦った結果なのでガルリゴス選手への誹謗中傷などは控えていただきたい」といったメッセージが投稿されている。柳井は当初女子20km競歩と混合競歩リレーにエントリーしていたが、その後、20km競歩への出場を辞退すると発表した。これは日本チームとしてより高い順位を見込めるリレーに専念しようと話し合って陸上競技連盟が判断したことだが、柳井のわがままであるかのような間違った解釈で批判するコメントが相次いだ。また、柔道の永山の試合では審判のジャッジを巡って物議を醸しており対戦相手の選手にも誹謗中傷のコメントが殺到した。IOCはこうした誹謗中傷に対して今回のパリオリンピックから初めてAIを使ったSNSの監視システムを導入している。主要なSNSを35以上の言語でリアルタイムで確認して誹謗中傷が疑われる言葉や画像、絵文字を識別して悪質な投稿を運営事業者に通知して削除を求めるという。ソーシャルメディアに詳しい国際大学の山口真一准教授によると正当な批判と誹謗中傷にはやはり線引きがあり、このプレーは良くなかったなど試合内容やパフォーマンスを評価することは批判だが、選手自身を攻撃することは誹謗中傷に当たる。下手だからやめろなど侮辱的な言葉を投げかけたり性格が最低だなどと人格を否定すること、嘘の情報に基づく悪口、こうしたことは誹謗中傷でいかなる理由があろうとやってはいけない。選手の心や命に関わり書き込んだ人が民事、刑事の責任に問われるケースもある。