経済的な理由で野球を断念してほしくないと子どもたちに野球用具を寄贈し続けている元甲子園球児がいる。そこにはかつての自分を重ねながら野球に励む子どもたちへの特別な思いがある。トランクルームに積み上げられたグローブなどの野球用具。ひとり親世帯など経済的に厳しい環境で野球をする子どもたちのために集められたもの。4年前から子どもたちにこうした野球用具をプレゼントしている小川健太はおよそ70人の仲間と企業への協賛や寄付を呼びかけ子どもたちからのお願いに応じている。活動の原点にあるのは子どものころの経験。小学3年生のときに野球を始めたがその後、両親が離婚。一緒に暮らしていた母親に負担をかけないようにと、最初に買ってもらったグローブ以外はお下がりのものを使ってきた。授業料免除の高校を選び甲子園出場を果たした。そんな中で同じような家庭環境で野球を志半ばで断念する姿も多く目にしてきたことが活動のきっかけだった。小川にグローブをお願いした横浜市の澁谷賢二朗君の母親。保育士のななは1人で賢二朗君とその兄を育てている。賢二朗君は1年生から近所のチームで野球をしている。学年が上がるにつれて野球用具にかかる費用が増えるようになりななは依頼したのだった。寄贈を前にして小川は賢二朗君に贈るグローブを選んでいた。小川はこれまでにおよそ300人にプレゼントを贈っており「将来、甲子園で活躍する姿を見たい」と話していた。