フランスでは去年、議会下院選挙で与党が大敗して極右政党が大きく勢力を伸ばし、首相が4人も代わるなど政治が混迷している。日本同様、少数与党での試験運営が続く中、新たな火種がくすぶっている。フランス・パリの教会では先週死去したルペン氏の葬儀に参加するため長い列。武装した警察官も多数配置されている。極右政党の創始者・ルペン氏は、ナチスドイツのガス室について「歴史上ささいなこと」と述べるなどヨーロッパにおける極右政党の源流とも呼べる人物だった。フランス分断の象徴がいなくなっても政治は安定しそうにない。就任したバイル首相は左派と極右が反発している年金の受給年齢引き上げについて「見直しを検討する」と表明。一方で、財政の健全化を重視する考えを強調。あいまいな発言に野党側は反発。早速、不信任案を提出。かろうじて否決されたが、早くも綱渡りの政権運営になっている。フランスの国民食・バケットの価格は1ユーロ(約160円)。バケット1本を買うのに必要な労働時間をフランスの最低賃金を基に計算すると5〜6分。1993年のEU(ヨーロッパ連合)発足後ほぼ変わらない。政治の混乱が続く背景には、国民の暮らしが良くなった実感がわかない、怒りのマグマがありそう。