田中理さんは「現在、ECBの下限の政策金利は2.25%と、ECBの想定する中立金利が1.75~2.25%なので、上限に達していると言えます。前回の理事会はトランプ大統領の相互関税発表直後で追加利上げを示唆していたので、不透明感は後退していませんし、今回市場予想通りの0.25%の追加利下げが行われるとみられています。不確実性が非常に高いので、この段階で政策の方向性を断定することは正直難しいと思うので、データに基づいた理事会ごとに判断するというフォワードガイダンスを維持することになります。ECBの前回の経済見通しは3月のもので、ECBの成長率見通しについてはほぼ前回と同じ0.9%じゃないかなと思っています。また、消費者物価指数も落ち着いてきているので、報復関税の応酬のようなものが落ち着いてくれば、ここからの再加速はあまり考えないで良いと思います。ドイツの財政転換などの影響が出てくるのは来年以降で、年後半は関税の影響の方が大きく、金融政策頼みになると思います。アメリカとEUの関税交渉は難航していますが、9月に利下げするのではないかと考えています。決着が長引いた場合、景気や物価を下支えをしなくてはいけないので、ECBが利下げするシナリオが出てくる可能性はあります」などと話した。