院長は、地方での勤務を促す強い対策というのを求めていた。今回の案には病院の院長などになる要件に、医師が少ない地域での1年以上の勤務を加えるという案が示された。公立病院など約1600の病院を対象にしている。ただ院長になりたいという医師がどれほどいるのだろうかと、こういった声も聞かれている。国は当初、より強い対策「割り当て制」も検討していた。地域ごとに必要な医師を配置するという案。4月に当時の武見厚生労働大臣がNHKの番組で「医師の偏在を規制によって管理していく」などと発言をして注目を集めた。しかし「いきなり強制力を働かせることには慎重であるべき」といった意見もあり、今回の対策案には盛り込まれなかった。対策案の実効性について、偏在の解消に向けた第一歩になるといった評価する声が聞かれた一方で、間接的な対策も多く、これだけで偏在は完全に解消しないだろうといった声も聞かれた。地方に医師が集まらないのは、専門的な技術が学べない、家族の事情などさまざまな理由があり、簡単に解決する問題ではない。専門家は引き続き議論をしていく必要性を指摘。国際医療福祉大学大学院・高橋泰教授は「医者が何人いるかデータで見ていけば、偏在の進み方はわかる。今回のように関係者を集めて検討会をつくり、対策を考えていく。偏在対策を継続的に追っていくことは非常に意味がある」などと述べた。今回、地方の現場を取材して、医師の頑張りに頼るというのには、もはや限界がある。国は今回の対策の効果というものをきちんと検証して、必要があればさらに強い対策も含めて打ち出していく、こういったことが必要などと話した。