米国・民主党大会が行われている米国・シカゴから佐藤キャスターが報告。シカゴでは、ハリス旋風と言っていいほどの熱気を感じるが、これが盤石な支持につながるのかどうか。激戦州の1つ、米国・アリゾナ州で取材をするとまた違った側面も見えてきた。前回の大統領選では、約1万票の僅差で民主党が勝利した激戦州で、今回の大統領選挙でも鍵を握るとされている。今月上旬、ハリス氏は州内で選挙集会を開催し、レストランを訪問して客や従業員たちと交流。実際にハリス氏と話をしたという店主に大統領になってほしいか?と質問すると「まだ投票先を決めていない。これから出てくる提案とどんなテーマに取り組むかで判断する」と語った。支持する政党はないと話す客もハリス氏への投票は決めかねているという。多くの人に話を聞く中、物価高に対する不満の声が聞かれた。米国では近年、食品価格や住居費など、生活に欠かせないコストが上昇。インフレ率はピーク時の約3分の1にまで低下したが、物価高は依然として国民の負担となっている。経済への関心の高さは、民主党の選挙活動を行う人たちの意識にも影響を及ぼしている。さらにメキシコと国境を接している米国・アリゾナ州ならではの声も。これまで移民に寛容な政策を進めてきた民主党。しかし、法的な手続きをせずに入国を試みる人が急増し、有権者の反発を招いた。バイデン政権では今年6月、一転して国境の管理を強化。従来の方針は揺らいでいる。ハリス氏は9日、アリゾナ州での演説で「今の移民制度に問題があるのは理解しているが、修正するために何が必要かもわかっている。強力な国境警備と市民権獲得の道筋を含む包括的な改革」と述べた。アリゾナではハリス氏の経済政策をしっかりと見極めたいという声が予想以上に多く聞かれた。国境の町だけに、民主党の移民政策というのも厳しい目で見られている。こうした見方は伝統的に民主党の支持基盤とされてきたヒスパニック系の人たちの間にも広がっている。ヒスパニック系市民団体・幹部は「ハリス氏が我々の生活を改善してくれると信じているが、ヒスパニック票は(民主党にとって)当たり前のものではなくなっている」と語った。これから投票先を決めるという人たちは、ハリス氏だからこそできることを知りたいと繰り返し話していた。ハリス氏は物価高や移民政策など、現政権の課題とされてきた部分も引き継ぐことになる。そうした課題に対してどのような解決策を示すのか、あすの受諾演説でどんなことを話すのか、しっかりと見ていくべきだとした。