事件の被害者・遺族が希望すればその想いを加害者本人に伝える新たな制度について、導入を前にした現場の取り組みを紹介する。各施設の職員が被害者担当官になる。担当官は被害者と加害者の間に立つ役割。気持ちを伝えられた加害者の受け止めを被害者に知らせる。法務省担当者は、相応の準備、情報連携を組織として一緒にやっていくのが大切と述べた。大久保さん夫婦は、14年前に当事15歳の次男を殺人事件で失った。加害者は次男の交際相手に一方的に好意を抱いていた当事17歳の少年。判決は懲役5年から10年の不定期刑。夫妻は無念さを伝えようと毎年刑事施設を訪れて職員と面会していたが、これまで受刑者や担当者に心情を伝える制度はなく、被害者の想いが考慮されていないと感じていた。夫妻は新たな制度に期待している。担当官は、どこまで踏み込んでいいのかプレッシャーや不安もあるという。専門家はこの制度の意義と課題について、「被害者・加害者双方にとってこれまでにない大きな試みで被害者担当官は高い専門性が求められる。制度が形だけにならないよう担当官の研修を行うなど人材の育成が重要」と指摘する。