AM5:00、洋服の青山 鳩ヶ谷店では多くのスタッフのもとでチョコレートプラネットの松尾駿が出演するCM撮影が行われていた。華やかなCMの世界であるが大きな変革を迫られていた。広告業界を取り巻く環境は激変し、大手企業への寡占・人材不足・資本不足と中小の制作会社は新たな局面を迎えていた。東京都・港区のCM制作会社「キラメキ」の石井社長は2004年に創業し、現在従業員は16人であり、社員の殆どがバイリンガルであることを武器に国内外の企業CMをプロデュースしている。キラメキはセイコーウオッチのCMを依頼され、石井がプロデューサーを務めてロサンゼルスで撮影を行った。石井はCMで席を立つ人が多いため2秒で心をつかむ必要があるなどと語った。この日、石井が担当した新CMの管制が間近となり、ロックンロール・ジャパンの湯川プロデューサーらと打ち合わせを行っていた。湯川は2009年にカンヌ国際広告祭で金賞を受賞しており、石井とは長年業界を共にしてきた盟友でもある。この日、新CMのクライアントチェックを受けた石井は今回は短時間で終わったほうだと明かした。テレビ・ラジオのCM制作費、新聞・雑誌の広告掲載料では年間7兆円の広告費が動いており、かつてはテレビCMが主軸であったが現在はネット・SNSメディアが中心となっている。石井は26歳で広告業界に入り、31歳でプロデューサーに昇進すると日韓ワールドカップの終わりが影響して勤務先の制作会社に影響が発生し大量のリストラが行われ、石井もそのうちの一人になってしまった。石井はかつての上司の言葉をヒントに2004年にキラメキを創業したなどと伝えた。安室奈美恵出演CMなどを手掛け成功したことでCM制作会社として確固たる地位を確立。しかしコロナ禍で売上が大幅にダウン。その時相談したのがロックンロール・ジャパンの湯川篤毅だった。ここから広告業界を揺るがす前代未聞のM&Aプロジェクトが始まった。
住所: 埼玉県川口市里1645-1