常灯明は400年近く悩み苦しむ人々の心を照らし続けてきた。かつて、自らを愚かな人間・凡夫と称した異色の僧侶がいた。その教えを受け継ぐ人々が作った寺がある。京都市の中心部にある西本願寺。安土桃山から江戸初期にかけて花開いた美が輝く文化財が数多く残されている。国宝・唐門は、かつて西本願寺の正式な門として用いられた。豪華で華やかな彫刻に見入っていると日が暮れるのも忘れてしまうことから日暮門とも呼ばれる。国宝・飛雲閣は、金閣、銀閣に並ぶ京都三名閣の1つとされる。西本願寺の住職である歴代の門主が特別なもてなしの場として用いた。白書院は、各地の僧侶や門徒たちと門主が対面する際に使われた。当時の透かし彫り技術の結集とも言える欄間。天井は最も格式の高い折上格天井。桃山文化を今に伝えている。西本願寺は、鎌倉時代の僧侶・親鸞が開いた浄土真宗の本山。宗祖・親鸞は厳しい修行ができなくとも仏の働きによって救われると説いた。親鸞の教えを求める人はその後増え続け、現在約800万人の門徒を要する国内最大規模の伝統仏教宗派となった。しかし今、大寺院の足元が揺らぎ始めている。長年西本願寺を支えてきた各地の寺では、住職がいなくなり残された僅かな門徒で寺を守っている。今回、西本願寺のトップが初めてテレビのインタビューに応じ、長年受け継がれてきた教えが伝わらないことへの危機感を打ち明けた。厳しい現実を前にして、本山では瀬戸際での模索が始まっている。人々の悩みや苦しみに向き合うという本来の努めをいかに果たしていくか。仏教の中に現代を生きるためのヒントがあることに気づいてほしいと試行錯誤が続いていく。
