保育所などの空きを待つ待機児童の数が過去最少となる中、子どもや親を支える環境も変化している。全国的に待機児童が多かった時期に設置が進んだ従業員向けの保育所、企業内保育所。今はその役割を終え時代のニーズに合わせて姿を変えたところもある。さいたま市に本社のある銀行の敷地内にある「りそなYOUTHBASE浦和」は今月27日に誕生したばかりの子育て支援団体が共同で使用する活動拠点。子ども服やおもちゃの譲渡会、子どもの学習支援、それに放課後の居場所作りに活用される予定だ。もともとは銀行が設置した企業内保育所だった。待機児童が社会問題化する中で従業員の職場復帰を後押しすることが目的だった。当時、企業内保育所を利用していた銀行員、石田絵美は子どもが生まれたあとも働き続け勤続22年目を迎えた。第1子を出産した平成27年。このころ住んでいたさいたま市の待機児童は95人。希望した認可保育所18か所はすべて落ちてしまった。そのとき切り札となったのが勤め先の企業内保育所だった。あれからおよそ10年、石田は管理職として後輩たちの仕事と子育ての両立を支える立場になった。かつて利用した保育所も待機児童が減少して一定の役割を終えたとして2年前に閉園。今度は地域の子どもたちを支援する場所に生まれ変わることになった。この秋の譲渡会に向けて子ども服をサイズごとに並べる作業が進められている。気に入ったものを親子で自由に持って帰ってもらう予定。ほかの子育て支援団体にも活動拠点の利用を呼びかけていてさまざまな人と交流できる場にもしていきたいという。