野村証券・森田京平の解説。日銀の利上げに対する警戒感が市場で高まり昨日日本の長期金利は1.515%と15年9ヶ月ぶりの高い水準をつけた。森田さんは「ドイツ、またはEU等で聞かれた防衛費絡みの政府の歳出の増額、これを受けて日本においても例えば防衛関係の支出が増えるのではないのか。場合によってはそれを国債の増発で調達する可能性もあるのではないのかというところで長期金利を急速に押し上げる環境にちょっとなりやすかったのかなと思っている。日本の物価を米国あるいはユーロ圏と比べてみると1つの特徴が出てくる。インフレの主役はアメリカは家賃、ユーロ圏はサービス、日本は主役なし。日本のインフレを牽引するという軸になるものは形成されていないと考えている」などと述べた。日本の物価を動かす3動力について。森田さんは「1つめは輸入されたインフレ。輸入物価が上がるあるいは為替で円安が進むという形。2つめは国産型のインフレ。国内の人件費、または賃金と紐づいている。あるいは賃金と紐づく形で国内で価格転嫁が進む形。3つめは不規則なインフレ。代表的なのはコメの価格。弁当、外食、すしへの波及が起きてくるかどうか注目したい。日銀に限らず中央銀行は特定の品目に対してアプローチする術は持っていない。きっかけがコメであろうと何であろうと、物価上昇につながったとすると消費者のインフレ予想の粘着的な上昇にフィードバックされると無視できない。コメの価格が上がることよりも消費者などのインフレ予想に粘着的に関わるかどうか。備蓄米の放出などにより消費者が目にする表面価格の上昇ペースに一定のブレーキをかけられるかどうか。それができるのは政府。長期金利は日銀の金融政策への追加の利上げの思惑、あるいは今よく出ている防衛費の増額、それを国債の増発でファイナンスするかもしれないという思惑があることを踏まえると10年金利は1.5あるいは来年に向けては1.6程度の視野に入れる必要があるかと思っている」などと述べた。