政治資金規正法の改正案。きょうから参議院特別委員会で実質的な審議が始まった。焦点の1つは、政策活動費。自民党が、公明党と日本維新の会の主張を踏まえて修正した法案では、10年後の領収書などの公開について、そのチェックのため、独立性のある第三者機関を設置するとしている一方で、具体的な内容は今後検討するとしている。特別委員会では、その検討を巡って論戦となった。立憲民主党・熊谷裕人参院議員は「これから協議、検討という事項が多い。年内を目指すべきだと思うが」とただし、法案提出者・自民党・鈴木馨祐衆院議員は「各党の政治活動と密接に関係するもの。検討する場も議論していかなくてはいけない。一刻も早く検討をスタートするべき」と述べた。衆議院で法案に賛成した日本維新の会・音喜多政務調査会長は「領収書公開などの具体的な内容は、法律の施行日までには完成させ、同時の施行を目指すという理解でよいか。誠実な履行が確約できないなら、衆議院と同じ対応をとるのが難しくなる場合もある」とただし、法案提出者・自民党・藤井比早之衆院議員は「維新とわが党との合意などを十分に踏まえ、速やかに結論を得る。しっかり対応したい」と述べた。参議院決算委員会で、岸田総理大臣が出席し質疑が行われた。ここでも政治資金規正法の改正を巡り、論戦が交わされた。立憲民主党・徳永エリ参院議員は、「“裏金事件”の再発防止を国民は求めている。いちばん大事なのは企業団体献金の禁止。なぜそこに手をつけないのか」とただし、岸田首相は「最高裁判決でも政治活動の自由の観点から、企業の寄付の自由を制限することはないとした指摘もある。禁止するのではなく透明性を高める」と述べた。公明党・下野六太参院議員「透明性確保のポイントは第三者機関。施行期日までに設置する考えか」とただし、岸田首相は「現時点で予断を持って設置時期を申し上げるのは難しいが、自民党としてもなるべく早期に設置できるよう議論に貢献していく」と述べた。日本維新の会・清水貴之参院議員は「政策活動費の領収書についてすべて公開する。そのために10年という期間も持っている。黒塗りはなくしてもらいたい」とただし、岸田首相は「10年たっても伏せなければならないことが仮にあるとしたら、どのようなものなのか、各党会派で詰めることが必要」と述べた。参議院決算委員会。国民民主党の会派に所属・芳賀道也参院議員は「領収書の公開が、国家機密でもあるまいし10年後。抜け道だらけの法律を作ることは、かえって“裏金”に対する国民の怒りの火に油を注ぐ」とただし、岸田首相は「政治活動の自由の維持する。私的流用が行われているのではないかとの疑念にたいしてはしっかり応えなければならない。2つのバランスの観点から10年後に公開する」と述べた。共産党・山添政策委員長は「自民党の収入は、大半が政党助成金(政党交付金)と企業団体が出資者となる献金、パーティーだ。“裏金事件”のような金権腐敗が起き得る。根を絶たなくてはいけない」とただし、岸田首相は「多様な考え方の出し手によるさまざまな収入を確保することが、政策立案の中立性やバランスの確保にとって重要。透明性が確保され、多様性があるかどうかを国民が判断できるようになっていることが重要」と述べた。参議院決算委員会。自民党・赤松健参院議員は「コンテンツ制作を経済の柱に位置づけ、国家戦略として省庁横断で取り組むべき。漫画、アニメ、ゲームを起点に世界のトップを取っていきたい」と述べ、岸田首相は「クールジャパン戦略で、関連産業全体で50兆円の海外展開を目指し、国家戦略として政府一丸となってコンテンツ制作を推進していきたい」と述べた。今夜、自民党の若手議員らを前にあいさつする岸田総理大臣の映像を紹介。派閥が相次いで解散し、党が人材育成の役割を担う必要があるとして、3月に勉強会が始まり、きょうは修了式だった。岸田総理は「国民の信頼を取り戻し、政治を前に進めるため、われわれ一人一人のたゆまぬ努力と鍛錬が不可欠だ」と話していた。国会では政治資金規正法改正の議論が行われているが、政治改革は、自民党そのものがどう変わっていくかもあわせて問われている。