来月から実施される定額減税は1人当たり所得税が3万円、住民税が1万円減税される。会社員などについては勤務先が所得税の減税の事務を行うが企業の担当者などからは事務作業の負担を懸念する声も上がっている。きょう渋谷区の税務署で開かれた説明会には企業の経理担当者など74人が参加。事務負担への懸念の声が聞かれた。今回の定額減税では1人当たり年間で所得税が3万円、住民税が1万円減税される。納税者本人だけでなく扶養している子どもや年収103万円以下の親族らも減税の対象となる。例えば夫婦と子ども2人の4人家族の場合、共働きかいわゆる片働きかにかかわらず世帯全体では所得税が12万円、住民税が4万円の合わせて16万円が減税される。大田区にある金属加工を手がける工場で従業員11人の給与計算などを1人で行っている木村美子さんは今月上旬から国税庁のパンフレットを読み込んで仕組みを確認してきた。この工場では来月下旬の給与の支給から減税を反映する予定だが、従業員の給与から計算すると所得税3万円分の減税を受けるには年末まで毎月、減税が続く人が大半だという。一方、住民税の減税の対応には地方自治体があたる。墨田区役所では個人事業主などを対象にした納税通知書に誤りがないか確認するなど準備に追われていた。また区民からの問い合わせも増えているという。東京都内のシングルマザーの女性は手取りで月14万8034円の収入があり、正社員として医療関係の事務の仕事をしながら4歳の男の子を育てていて年間の給与所得は200万円程度。食費を月1万5000円に抑えられるよう切り詰めていてフードバンクの食料をもらうことも多い。今回の減税については「率直に嬉しいが終わってから給料が上がるわけではないので、減税分は貯金に回す」と話していた。今回の減税について政府は、春闘による賃上げが給与に反映される時期に合わせて行うことで手取りの増加を実感してもらいデフレ脱却を確かなものにしたいとしている。しかし一律の給付に比べて制度が複雑なことや減税が複数の月にわたって行われるケースも多いことから手取りの増加を実感しにくく効果が薄いのではないかという指摘も出ている。