小林さんが蔵で女体書道と向き合い始めたのは6年前。小林さんの自宅は蔵の隣にある。4年前に妻・かおりさんを亡くした小林さん。2015年に乳がんが見つかり治療したが、再発したときがんは全身に転移していた。妻は抗がん剤を拒み、小林さんはその時に「どうしておけば良かったのかな?」と思ったものの、亡くなる時「とにかくあの時抗がん剤をやらなくてよかった」と妻に言われたという。かおりさんは女体書道に理解を示してくれていた。そんなかおりさんが亡くなって以来、ずっと息子の弁当を作り続けてきた小林さん。取材した日は普段より遅めの朝ごはんだった。長く絵画教室に通っているという息子は、父の女体書道について「色々工夫されているなと思うし、アート目線だなと思っている」と理解を示している。父の方から息子に作品の狙いを説明することもあるという。
「もう一度背中に文字を」。西山美海さんがそう決めた事情は複雑だった。物心付く前に両親は離婚し、母親の再婚は美海さんが高校2年生の時だった。1人っ子の美海さんは母方の祖父母に溺愛され、一方で母親との溝が生まれた。母親へのわだかまりが今回の動機。心の傷は体の傷よりも深いものだった。
「もう一度背中に文字を」。西山美海さんがそう決めた事情は複雑だった。物心付く前に両親は離婚し、母親の再婚は美海さんが高校2年生の時だった。1人っ子の美海さんは母方の祖父母に溺愛され、一方で母親との溝が生まれた。母親へのわだかまりが今回の動機。心の傷は体の傷よりも深いものだった。