バーチャル学校は、自宅からオンラインで参加できるフリースクールで、子どもが在籍する地域の学校と連携して新たな学びの場となることが期待されている。小学4年生の晴海さんは、半年ほど前からバーチャル学校に通っている。登校するのは、デジタル空間に作られた校舎。児童生徒の数は小中学生合わせて120人。8人ずつのクラスに分かれ、担任もつく。学校側が用意したスケジュールに沿って一日を過ごす。午前は、自宅で体を動かすホーム体育や、在籍する小学校の授業の進度に合わせた教材に取り組んだ。午後の授業では、教員免許を持つ講師が7教科の指導に当たっている。ノートはリアルタイムで共有し、講師が全員の進捗を確認しながら進める。晴海さんは、2年生のころ、大きな音が苦手で周囲のペースに合わせて行動するのが難しく、登校を続けられなくなった。音に敏感な晴海さんにとっては、突然誰かが大声を出すことがないバーチャル学校の環境が適していた。カメラやマイクをオンにするのかを選べることもあり、ここなら通えると感じたという。クラスメートや担任ともなじんだことで、カメラやマイクをオンにして参加することが増えている。バーチャル学校での学習活動の記録を在籍する小学校に提出し、学校長が内容を確認して、適切と判断したら、出席扱いとして認定され、成果が通知表などの評価に反映される。バーチャル学校には、放課後の活動の時間もあり、晴海さんは、将棋サークルの部長を務めている。バーチャル学校のスタッフは、元教員や教員志望の大学院生らだ。この学校では、ピクニックなど対面で会う機会も月1回ほど設けている。3月には、卒業や進級を祝う会が開かれた。小学校を卒業したけいとさんは、今後も、バーチャル学校に通いながら、中学校に登校する日も増やしていきたいと考えている。