江戸時代に出版された「悦贔屓蝦夷押領」。物価が高騰していた鎌倉時代、高給取りだった源義経は兄・頼朝から家臣ともども鎌倉から追い出されてしまう。抜け穴を通り逃げた先は蝦夷。案内役として捕らえられた住民のダンカンはわざと道を間違え困らせようとしたが、天狗の助けもあり謎の王国にたどり着いてしまう。現地の武士を降参させ王国を手に入れ、ダンカンは義経の家臣になる。ダンカンは反乱を企てていたが、見抜いた義経は蝦夷の者たちに酒を与え酔い潰す。義経らはその隙に昆布や数の子を持って国を立ち去り、昆布などを浅草の市場で売り大儲け。昆布や数の子が縁起物として広まった背景には、幕府の蝦夷への関心とこの物語の存在があったのかもしれない。
