武田さんのプロの眼。テーマは「日本経済の金利上昇耐性」。市場では日銀による利上げ観測が高まってきている。金利上昇の影響について、武田さんは「企業部門は利払い負担増、利益の減少、設備投資にはマイナス効果。政府部門は利払い負担増、家計部門は利子収入の増加、貯蓄性向が高まる。ローン負担増えるので、自動車など耐久財消費に影響が出て、住宅投資には大きな影響がでる」とした。武田さんは「日本の金利が上昇するので、為替にとっては円高圧力にはなる。今、行き過ぎた円安が問題視されているので、そちらを解消するというプラスの面もあるので相殺し合い当面はほぼ中立と思っている」と話した。また、利上げの背景には物価の上昇があるとして、物価の上昇自体も良いインフレと悪いインフレがあり、今足元はどちらかというと悪いインフレだとした。利上げができる環境というのはいわゆる良いインフレで、プラス面というのをある程度考える必要があると思う。企業に関してはうまくやればちゃんとやれば10兆円ぐらいの利益増というのは見込めるはず。これだけでも設備投資のマイナスを1%分埋め合わせるという要因にはなってくるので、GDP全体で見れば0.5%ぐらいの成長を押し上げる効果が期待できる。政府に関して言うと、ざっくり4兆円くらい増えてくるのかなというプラス面はあるということだが、注意しないといけないのは、先に税収が上がり、金利負担はこれからゆっくり上がっていく。そこは勘違いしないように。1年だけプラスが増えたからと言って、そこは喜ばないことが大事だとした。武田さんは「今後1年間で政策金利1%ポイント上げても0.2%ぐらいの減速で済むということであれば、景気が失速するというほどのインパクトではないのかなと思うし、いずれにしても鍵を握ってるのは企業部門の行動だと思う。理論上は期待インフレ率が、金利より高くなるとすれば、実質金利マイナスですから、普通は設備投資はプラスなんですよね。理論通りいけば設備投資は増えていく。結局は企業の投資スタンスが鍵を握る。もう一つは価格設定行動。部分が自社の利益だけを追求して、値下げ競争などをやってしまうと、デフレの方に向かっていくリスクも高まっていくので、企業は中小企業含めて、全体として値段を上げていく、コスト増を価格転嫁していくということが金利上昇の体制を強めていくことだと思う。」などと話した。