カナダに関税が課されると日本の企業にも影響が出てくるとの指摘がある。米国とカナダ、メキシコの3か国間では、1992年にNAFTA(北米自由貿易協定)が締結され、段階的にほとんどの関税が撤廃された。その後、自国ファーストを訴える米国・トランプ次期大統領が前政権時の2020年に新たな協定USMCA(米国メキシコカナダ協定)に署名。条件を満たさなければ関税をかけると圧力を強めた。こうした中、トランプ次期大統領は、来月の就任初日にカナダとメキシコからの全ての輸入品に25%の関税を課す大統領令に署名すると表明。カナダにとって米国は最大の貿易相手国であり、JETRO(日本貿易振興機構)によると、主要な輸出品目は原油や天然ガスといった鉱物性生産品や自動車などで総輸出額の77%以上に上る。もし関税をかけられた場合、カナダの経済は大きな打撃を受けることになる。カナダには米国市場向けの重要な生産拠点として日系企業も進出していて、外務省の調査では海外支店や現地法人など982拠点ある。JETRO(日本貿易振興機構)のリポートによるとカナダ国内での自動車生産台数約152万台に対し、トヨタとホンダの去年1年間の生産台数は、計90万台と6割を占めている。去年行った日系企業の製造業への調査では、米国向けの販売比率は3割を超えていて、日系企業がカナダで生産したものの多くが米国へ輸出されている。米国・トランプ次期大統領が関税をかけた場合、日系企業も大きな影響を受ける恐れがある。第一生命経済研究所・熊野英生首席エコノミストは「米国の消費者が割高な自動車は買わなくなり、カナダから米国向けの輸出が減るとみられ、カナダでの生産台数を減らすことも予想される」という。トランプ次期大統領はメキシコにも関税を課すと表明。メキシコにも多くの日系企業が進出、工場で生産し米国へ輸出。熊野首席エコノミストは「日系企業にとってメキシコとのダブルパンチで大きな痛手になる」と分析。